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ウレタンゴムとは?about

ウレタンゴムって何?

ウレタンゴムは合成ゴムの弾性(柔らかさ)とプラスチックの剛性(固さ)を併せ持った弾性体です。
色んな合成ゴムの中で耐摩耗性が一番あります。
繰り返し使うローラー(紙送りローラー等)には最適です!

ウレタンゴムとは?

ウレタンゴムの特徴

  • 優れた耐摩耗性
  • 耐薬品・耐油性に優れている
  • 機械的強度が大きい ※
  • 耐荷重性が大きい
  • 高弾性でエネルギー吸収性が高い
※引張りの強さの比較(単位Mpa)
ウレタンゴム(U) 20~45
天然ゴム(NR) 3~35
二トリルブタジエンゴム(NBR) 5~25
クロロプレンゴム(CR 5~25
シリコンゴム(Q) 3~12
フッ素ゴム(FKM) 7~20

当社の注型ウレタンゴムの特徴

ウレタンゴムの加工方法には、
「ミラブルタイプ」「サーモプラスチックタイプ」「キャスタブルウレタンタイプ(液状注型)」
などがあります。
その中でも、弊社ではキャスタブルウレタンタイプ(注型)での加工を行っています。
それは、注型ウレタンゴムは他の加工方法と比べて、以下のような特徴があるからです。

  • ウレタンゴムの特性を最大限に発揮出来る(物性が最高に良い)
  • 広範囲の物性(硬さ・機械的強度・各種耐性)が付与出来る
  • 加工設備や型が比較的安価で出来る
  • 工程が簡単で手加工(職人仕事)が出来る
  • 圧縮永久歪が小さい

 

ウレタンゴムの長所

金属と比べて… 軽量である
騒音が少ない(繰り返しローラーなどに使った場合)
耐久性が良い
加工が容易
錆びない
プラスチックと比べて… 脆くない
弾性体である
耐摩耗性が良い
合成ゴムと比べて… 耐摩耗性が良い
引裂け強度が大きい
耐荷重性が大きい
高硬度製品が可能

 

ウレタンゴムの用途

ウレタンゴムは、様々なところで使用されています。
例えば、以下のような用途で使われています。

  • ローラー
  • キャスター
  • ショックアブソーバー
  • フォークリフトなどのタイヤ など。

ウレタンゴムは材料の調合や、製法によって硬度(かたさ)を調節することが出来ます。
このように柔軟性のある素材だからこそ、いろんな場所でお使いいただけるのです。

弊社は手のひらサイズのウレタンゴムに特化しています。
手のひらサイズ以上の大きいものは基本的にはお請けしていません。
そのかわり、手のひらサイズに収まるものでしたらお任せください!
最高の品質のものを短納期でお渡しします!

(上級編)より深くウレタンゴムについて知りたい方へ!

※以下はかなり専門的な内容となります。興味のある方のみお読みください

ウレタンゴムとは?

ウレタンゴムは、ポリウレタンと呼ばれる高分子化合物から生成された弾力性のある合成ゴム素材です。
このウレタンゴム素材は特に耐摩耗性に優れています。
普通の合成ゴムでは摩耗してしまう場所でも、ウレタンゴムならその特性を生かして活躍することができます。
また、耐薬品性や耐久性にも優れています。樹脂(プラスチック)がいろんな場所で使用されているこの時代でもなお、ウレタンゴムでしか対応できない場所があり、多岐に渡る産業・工業分野でウレタンゴム素材は重宝されております。

 

ウレタンゴムの成り立ち

ウレタンゴムは主にポリオールイソシアネートという成分から成り立っており、その二つの成分が化学反応起こすことにより、ポリウレタンゴムが生成されていきます。
ポリオールは、高分子を構成する重要なモノマーであり、ポリエステル、ポリエーテルなどの種類があります。
ポリオールは1950年頃から使われだしており、その頃はほとんどがポリエステルポリオールでした。
その後1958年頃から加水分解に対応した安価なポリエーテルポリオールが市場で使われだしました。
ウレタンゴムの歴史は、この「加水分解」というワードとの闘いと言っても過言ではありません。ウレタンゴム=加水分解しやすいというイメージは拭いきれないですね。

 

ウレタンゴムの化学的組成と加水分解について

ウレタンゴムはなぜ加水分解しやすいのでしょうか?
それは、ウレタンゴムの化学的組成式に起因しています。
ウレタンゴムは、主にエーテル系エステル系とに分けられます。その中でもエステル系は加水分解しやすい化学的組成になっています。
エーテル系の場合、―O―という化学的組成になっているのに対し、エステル系は―COO―という化学的組成になっています。この様な化学的組成は、H₂O(いわゆる水)と反応してしまいます。
化学反応の結果、H₂O+―COO―=COOH+OHとなり、酸とアルコールに分解されます。これこそが加水分解の正体です。
「ウレタンゴムは耐水性には劣る」いわれる原因が、この加水分解という現象なのです。

 

加水分解に対応したエステル系ウレタンゴム

ただし、現在は加水分解されやすいと言われるエステル系でもかなり改善されています。
今までのエステル系ウレタンゴムはアジピン酸エステル系といい―(CH₂)₄―の組成を持っています。
加水分解しにくいエステル系ウレタンゴムはカプロラクトンエステル系と呼ばれており、こちらは―(CH₂)₅―の組成を持っています。
一般的には、(CH₂)4までが親水性(水に馴染みやすい)があり、(CH₂)5以上になると疎水性(水をはじく)があると言われています。
よって、組成に―(CH₂)₅―を持っているカプロラクトンエステル系の方が加水分解しにくい材質であると言えます。

 

エステル系ウレタンゴムのメリット

加水分解の観点から考えるとエステル系ウレタンゴムの悪い所ばかりが目立ってしまいますが、抗張力の観点から考えれば、エステル系ウレタンゴムの方がエーテル系ウレタンゴムより数段優れています。
エーテル系―O―の分子凝集エネルギー(分子ひとつひとつが持ってる力を指します)を1とすると、エステル系―COO―の分子凝集エネルギーは2.9となり、約3倍のゴムとしての力を持っています。

有機基 分子凝集エネルギー
―O―(エーテル) 1.00(Kcal/mol)
―COO-(エステル) 2.90(Kcal/mol)

有機基の分子凝集エネルギー(Kcal/mol)

 

ウレタンゴムは硬い?柔らかい?

ウレタンゴムという言葉を聴いて皆様は何を想像されるでしょうか?一般的には、以下の3つが頭に浮かぶのではないでしょうか。

1. ウレタン塗装
2. ウレタンフォーム
3. ウレタンマット

ウレタン塗装という建築用語を除くと、ウレタンと聞いて皆様が思い浮かべるイメージは、柔らかい方のウレタンではないでしょうか。
私達、立成化学工業所が扱っている“ウレタンゴム”というのはその真逆で、「硬いウレタンゴム」です。
もちろん、柔らかい硬度のウレタンゴムも取り扱ってはいますが、発泡されているようなウレタンフォームとは感触が異なります。

筆者がこのウレタンゴム加工の株式会社立成化学工業所に入社した2000年の頃には、ウレタンゴムの加工物の大半はウレタンゴム硬度90度の硬いゴムでした。
ゴム硬度90度のウレタンゴムというのはウレタンゴム業界の中では、ごくごく一般的なウレタンゴム硬度です。耐摩耗性に優れ、反発弾性がいいウレタンゴムになります。
当社の扱っているウレタンゴムは、一般の方が想像されている柔らかいイメージの真逆の硬いウレタンゴムで、ウレタンエラストマーではなくウレタンゴムです。

 

液状注型ウレタンゴムの特徴

当社立成化学工業所では「液状注型」という製法を使ってウレタンゴムを製造しています。
液状注型とは、液体状のウレタンゴムを型に流し込み、思い通りの形のウレタンゴムを製造する方法です。
液状注型で作られたウレタンゴムの大きな特徴は以下の3つです。

1. 耐摩耗性が抜群である
2. 抗張力が大きい
3. 圧縮永久歪が小さい(優れている)

 

1. 耐摩耗性が抜群である

どうして注型ウレタンゴムは耐摩耗性が良いのでしょうか?
それは、ウレタンゴムの配合は純ゴム配合だからです。
純ゴム配合とは、簡単に言えば、ウレタンゴムの原材料(プレポリマー)と硬化剤のイソシアネートの二つの成分しか配合しない、ということです。

一般的な合成ゴムの場合、ゴムの配合には加硫促進剤や充填剤やカーボンや可塑剤などの多数の添加剤が加わります。
合成ゴムの物性を落とす要素はこの充填剤ではないかと言われています。
ゴムメーカー様はできるだけ安価で加工したいため、この合成ゴムの充填剤については様々な工夫をされています。
合成ゴムの配合は合成ゴムメーカー様の中でもマル秘であり、リーズナブルで品質を安定させるためにいろんな手を使っておられます。

その様な工夫が、逆に合成ゴムの物性を落としてしまうことになります。
合成ゴムはゴム自体の抗張力が衰えていき、ウレタンゴムでは保たれている摩耗力が他の合成ゴムでは弱まってしまうことになります。

 

2. 抗張力が大きい

ウレタンゴムの引張強度が大きい理由は、ウレタンゴムの架橋の配置が一定しているからです。
ウレタンゴムを作っている元素は一定の組成式になっています。
両末端にNCO~OCNというイソシアネート基があり、その両末端にイソシアネート基があるプレポリマーに反応をする硬化剤も一定の配置で元素が並んでいます。
当社では硬化剤はMOCAというものを使っております。このMOCA(メチレンビスオルソクロロアニリン)という硬化剤は現状の環境問題から考えると、今後他の硬化剤に変えていかないといけない未来が訪れるかもしれません。
しかしながら、このMOCAという硬化剤が現存する硬化剤の中でも一番使い勝手もよく、価格的も安定していることから、ほとんどの注型ウレタンゴム加工業者様が使用している状況です。

また、このMOCAも両末端にH₂N~NH₂というアミン基があり、これを総称してこの硬化剤のことも「ジ(2つの)・アミン」という言い方もしています。
この2つのイソシアネートとジ・アミンに熱を加えることにより、結合させていきます。
しかし、ここで液状注型ウレタンゴム屋ならではのポイントがあります。
全ての結合が一度に行われると、ウレタンゴムならではの力が発揮されなくなります。

例えるなら、車のハンドルの遊びのようなものです。ハンドルに遊びがないと車の運転はとても難しくなり危険です。
それと同じで尿素結合やウレア結合(二次元結合)だけで終わってしまいますと、ウレタンゴムが持っている抗張力を十分に発揮できません。
耐摩耗性抜群のウレタンゴムの力をしっかり出すためには、プレポリマーとジ・アミンの結合をワザと90%にして、遊び部分を残しておきます。そうすることにより、~NCO~(イソシアネート)と~NH₂(ジ・アミン)の10%が、もう一つの結合のビューレット結合やアロファネート結合(三次元結合)を生み出します。この三次元結合こそがウレタンゴムの大きな力を生み出す一因になっている結合だと言われます。

液状注型ウレタンゴムの場合、完全結合を敢えて避けている!! ココにウレタンゴムのミソ(面白さ)があると筆者は感じております。

この10%のダウンの配合ですが、もし100%以上の配合をしてしまった場合はどうなるでしょうか?
ジ・アミンの配合が100%を超えて配合した場合、~NH₂(ジ・アミン)は反応すべき~NCO(イソシアネート)が見つけることが出来ず、その化合物はもはや、単にウレタン化合物に不純物が混ざったものになってしまいます。
外観はウレタンゴム加工物に見えても、何らウレタンゴムの強力な物性を持ち合わせていないものとなります。

この逆はどうなるでしょうか?
例えば30%ダウンの配合とした場合は、まだ~NH₂(ジ・アミン)に反応すべき~NCO(イソシアネート)が残っている状態になります。
よって、熱と時間をかけることにより、徐々にウレタンゴムの塊から、強力なウレタンゴム物性を持ったウレタンゴム加工物に変化していきます。

10%ダウンの配合より劣るとは言え、他の合成ゴムよりも強力な物性を持ち合わせてくると思われます。
しかし、10%ダウン以下で配合することは値段的にも納期的にもお客様の要望を満足させるものではありません。
そのため、当社では10%ダウンの配合にこだわってウレタンゴム製品を製造しています。
現場では、~NCO(イソシアネート)と~NH₂(ジ・アミン)の配合には慎重を期しています。
それこそが本物のウレタンゴムを追究する我が社の強み(売り)だと考えています。

 

3. 圧縮永久歪に優れている

合成ゴムの加硫状態を調べたい時、圧縮永久歪を測定します。
圧縮永久歪の試験方法は、空気恒温槽内にて、指定の圧縮率に圧縮した状態で、指定時間保持した後、荷重を除き指定時間放置します。その際に減少した厚さの圧縮変形量を%で示します。

ゴムの圧縮永久歪は、低加硫状態では可塑性変形が大きく、当然圧縮永久歪が大きく(悪く)なりますが、加硫が進みに従い弾性体となり、圧縮永久歪が低い(良い)値を示すようになります。

圧縮永久歪が重要になるのは、長時間の使用や高温、高荷重の環境下においてウレタンゴムが使用される場合です。
この場合、ウレタンゴムが徐々に変形していき、元の状態に戻らなくなることがあります。
圧縮永久歪を最小限に抑えるためには、ウレタンゴム原材料の適切な選択や、メンテナンスが必要となります。
使用場所や使用方法が適切であれば、ウレタンゴムは圧縮永久歪に対して優れた耐性を持っているので、高い品質特性を生かし、信頼性を発揮することができます。

立成化学工業所は他の液状注型ウレタンゴム業者様とは違い、一次加硫におけるウレタンゴム原材料への加温の仕方、熱履歴の工夫、金型への加温の仕方、また、二次加硫における加硫炉の選定や加温の仕方にも、独自の工夫をしています。その観点からも圧縮永久歪が優れたウレタンゴム製品を製造し、他のウレタンゴム加工業者様よりも高い品質を実現していると自負しています。

 

ウレタンゴムについてのまとめ

ウレタンゴムは、本当にいろんな環境に適応できる化合物です。
しかし、ウレタンゴムはケミカル的な化合物ですので、製造の際の湿度や温度で大いに物性が変化していきます。
製造業者が雑に扱ってしまえば、その物性を活かし切ることができません。
それは本当にシビアで、当社でも日々それを体感しながら、慎重にお仕事を進めています。
最近では、お客様の当社に対する要望品質も明らかに上がってきています。
その要望品質に対応できるよう、細かいことにこだわりながら、日々丁寧に注型ウレタンゴム製品を製作しています。

今後ともウレタンゴム製品を愚直に製作する立成化学工業所をどうぞよろしくお願い致します。
ご依頼・ご要望がありましたら、お気軽にお問合せくださいませ。

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